髪型を変えて、人生を応援。『GEKI→HEN AWARD2025』グランプリインタビュー

「人生、ガラッと変えてゆけ。」をコンセプトに、お客様の「Before▶︎After」を競う『GEKI→HEN AWARD2025』において、見事優勝を果たした美容師の横井拓徹(よっこい)さん。2年ほど前から髪型の変化を通じて人生を変える「大変身動画」をSNSに投稿し、それらは累計2億再生を突破。「私も、よっこいさんにお願いしたい!」という声が集まり続けています。美容師10年目の節目に手にした栄冠の背景には、どのような想いがあったのでしょうか。コンテスト応募の背景と「大変身動画」への想いについて詳しくお話を伺いました。
目次
「自分にピッタリのコンテスト」Before▶︎After動画を発信する、大変身美容師
横井 拓徹(ヨコイ ヒロミチ)
恵比寿の美容院「Amoute(アムティ)」代表 / 株式会社2nd GENs 代表取締役。スタイリスト歴は10年。
「目の前のお客様が、今日より明日もっと自分を好きになる」施術を目指し、老若男女問わずこれまで3万人以上を担当。SNSでは「大変身美容師よっこい」として変身をテーマとした発信を行い、動画は累計2億再生を突破。テレビやメディアにも数多く出演する。
―― 横井さんは、以前からSNSで「大変身動画」を発信されていたんですよね。
横井さん(以下、敬称略):僕のお客様たちが施術で大変身を遂げる姿を、TikTokやInstagramリールで発信しています。ヘアスタイルの変化によってお客様の人生が変わり、自分のことをより好きになるお手伝いをする様子を、音楽と文字、施術の様子を交えてお届けする動画です。
実は僕自身、「美容院」という場所に行ったことをきっかけに人生が大きく変わった1人なんです。
僕が初めて美容院に行ったのは高校一年生のとき。それまではお洒落にあまり興味がなく、1000円カットか母親にしか切ってもらったことがありませんでした。成績は5段階中2と3ばかり。 現実逃避するように、毎日学校が終わったら寝るまでゲームをする日々で、夢や目標もなくて。
でもあるとき、勇気を出して美容院に行ってみたんです。髪型を変えるととてもワクワクして、少し自分に自信が持てたし、新しいことに挑戦する勇気も出てきました。
容姿に自信があると、何かに挑戦しやすくなる。その原体験は、僕が美容師になった理由であり、今でもモチベーションとなっています。
―― 今回のGEKI→HENアワードを知ったきっかけは何だったのでしょうか?
横井:SNSでたまたま流れてきて知りました。テーマが「人生、ガラッと変えてゆけ。」と聞き、これまで大変身動画を投稿してきた身として、まさに「自分にピッタリのコンテストだ!」と感じたんですよね。
提供するのは、夢を応援する施術。動画では、お客様のストーリーも発信
―― 今回のモデルとなったお客様はどんな方でしたか?
横井:声優志望で、オーディションに向けて大変身を希望されていました。実は以前からLINEの無料相談窓口でお話を聞いていたのですが、初めて来店されたこのタイミングで、ぜひ撮らせていただきたいとお伝えしました。
普段は髪型やおしゃれには無頓着だけど、綺麗になりたい。
オーディションを控え、自信をつけるために変わりたい。
そんな話を聞いて、率直に応援したいと思ったんですよね。
―― 今回のBefore →Afterのポイントは?

横井:「自信を持てるように、変わりたい」という要望を前提として、お客様の目力や眉毛の凛々しさがあるお顔立ちを活かすスタイルをご提案しました。
前髪はおでこを少し出し、首周りをすっきりさせて、メリハリを出す。パーマをかけることで動きがつき、垢抜けた印象になったと思います。髪色も、肌質に合わせて少しくすんだベージュ系の色を選定し、髪の軽やかさや動きが出やすい色味にしました。
僕は普段、何よりもお客様ファーストであることを大切にしています。要望を聞くだけでなく、もし「おまかせ」とオーダーをいただいたとしても「前髪は下ろしたい」「ツーブロックは嫌だ」など、隠れたお客様のこだわりやお悩みを探っているんです。
今回も、お客様の希望を前提として、細かな部分をこれまで3万人以上のお客様を担当してきた経験を活かした似合わせ理論で調整してみました。
―― 動画制作で、工夫した点はありますか?
横井:これは僕の「大変身動画」のこだわりでもありますが、動画ではただ変化を見せるのではなく、背景にあるストーリーも描くようにしています。今回の場合はとくに、お客様の夢を描き、僕もそれを心から応援したいという気持ちを載せてみました。
髪型が大きく変わる様子を見せる動画は、本当は外見的な変化だけを見せるだけでも良いはずです。でも僕は、そこに「どういった経緯で来店したのか」「美容に対してどういう価値観を持っていたのか」といった背景が加わるからこそ、動画の価値が高まると思っています。
あくまでも伝えたいのは、髪型の変化を通じて気持ちが明るくなったり、前向きになれたりするマインドの変化。見ている人に全力でメッセージを伝えるために、こだわって編集しています。
実は編集にこだわってしまい、動画を提出したのは期限のすごくギリギリでした……!コンテストの存在を知ってから期限までが短かったこともあるのですが、素敵なストーリーをお客様からいただいた故に、編集は時間との勝負だったことを覚えています。本当に提出が間に合ったのか、少し心配するほどでしたね。
「挑戦者でありたい」初代グランプリのこれから
―― 優勝が決まったとき、どのような気持ちになりましたか?

横井:今まで頑張ってきたことが報われたような気分になりました。
僕にとって美容師は、誰にも負けたくない、ようやく掴み取った夢です。学生時代はなんでも中の中。上を見ては沢山の挫折を味わったからこそ、美容師だけは「目指すからには誰よりも上手くなって、一番になる」と決め、努力してきました。
例えば高校2年生から一日も途切れず13年間続けている「美容日記」には、僕のこれまでの軌跡が全てつまっています。

上手くなるには「考える力」と「継続する力」が必要だと感じ、毎日「よかったこと」「改善点」「明日の目標」を3行日記に綴ってきたのですが、このような積み上げは今の僕を作りあげていると思います。
だからこそ、今回の結果は本当に嬉しくて。「大変身美容師」として名を残すために、寝る時間以外は全て仕事に振り切ってきたつもりなので、グランプリという形で評価されて光栄です。
―― 今後の展望について教えてください。

横井:「一生向上、一生努力」。髪型が人生に変化を与える可能性を極め、より多くの人に伝えていきたい想いは変わりません。これからも1日1日を無駄にせず、成長していきたいと考えています。今回いただいた優勝賞金も、さっそくハサミに投資しました!
僕は「ヘアスタイルを変えることは、どんな高級ブランドを持つよりも価値の高い変化を提供できる」と考えています。高いブランドを身につけても、髪型がダサければそれは一気に魅力がなくなる。でも、髪型が良ければどんなものを身につけていてもサマになるし、気分が変わる。おしゃれは、まずは髪型からだと思うんですよね。
今回の結果に満足せず、これからも何が良い施術なのか考え、試行錯誤する「挑戦者」であり続けたいです。
―― 横井さんにとって「良い美容師」とは、どんな人ですか?
横井:お客様にとって、オンリーワンの美容師ではないでしょうか。つまり「この人じゃなきゃだめだな」と信頼してもらえるような存在ですね。
僕もそんな美容師であることを目指していますし、そのためにもお客様には全力で寄り添いたいと考えています。
―― 最後に「大変身動画」や、コンテストに興味がある人に向けてメッセージをお願いします。
横井:懇親会では審査員の方とお話する機会があり、さまざまなお話を聞きました。
その中で僕が印象に残ったのは、皆さんが共通して、お客様の見た目の変化の大きさではなく「気持ちの変化、ストーリー性」「お客様の表情」を引き出せていて、それが似合っているのかを重要視していた点でした。
大事なのは動画を見て「自分もこうなりたい」「自分の悩みに対して、こういう風にアプローチしてくれるんだ」と想起させることなんですよね。これらのポイントは僕も大事にしたいと考えていた部分だったため、とても共感しました。もしお客様のBefore▶︎Afterを撮影し、SNSで発信してみたい方がいたら、ぜひ参考にしてみてください。
僕はこれまで2年ほど今のスタイルを突き詰めてきましたが、このコンテストで改めて評価していただいたことで、大変身美容師としてさらに飛躍する良いきっかけになりました。
まとめ
『GEKI→HEN AWARD2025』グランプリを受賞された横井 拓徹(ヨコイ ヒロミチ)さんにGEKI→HENアワードに参加されたきっかけや普段のサロンワークで大事にしていること、美容に対する向き合い方や今後の展望をお伺いしました。