『GEKI→HEN AWARD 2026』グランプリ・仲野 文彬さんインタビュー|「似合う」は、お客様を知ることから始まる

「人生、ガラッと変えてゆけ。」をコンセプトに、お客様の「Before▶︎After」を競う『GEKI→HEN AWARD 2026』において、見事グランプリを受賞した美容師の仲野文彬さん。
大阪市内を中心に、大阪府内に9店舗展開するビューティーサロン『MASHU』の店長・トップスタイリストとしてサロンワークに立ちながら、ブリーチカラーやデザインカラーを中心に、一人ひとりに合わせたスタイルを提案しています。
今回グランプリに輝いた作品は、就職活動を控えた大学生が「最後に個性的な髪色を楽しみたい」と来店したことから生まれたBefore▶︎After動画。審査では、カラーの技術力はもちろん、お客様の理想を丁寧に掘り下げるカウンセリング力や、抽象的な要望を具体的なデザインに落とし込む言語化力が高く評価されました。
仲野さんはなぜこのコンテストに挑戦し、どのようにお客様の“変わりたい”に向き合ったのでしょうか。作品制作の背景と、サロンワークへの想いについて詳しくお話を伺いました。
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仲野 文彬(ナカノ フミアキ)
MASHU Maruquee de mashu 店長/トップスタイリスト、スタイリスト歴16年
トップブリーチカラーリスト、トップワンメイクカラーリストとして、発色とモチの良いデザインカラーに定評がある。得意な技術は、ブリーチカラー、ペールトーンカラー、おしゃれな色のカラー、インナーカラー、ショートスタイルなど。MASHUのクリエイティブチームにも所属し、デザイン性の高いスタイルも得意とする。
デザインカラーで、提案の可能性を広げたい
―― 今回のGEKI→HEN AWARDを知ったきっかけは何だったのでしょうか?
仲野さん(以下、敬称略):SNSで知りました。何気なくInstagramを開いていたら、GEKI→HEN AWARDで参加者を募集している旨の投稿が流れてきまして、それを見たのがきっかけです。
スタイリスト歴は16年以上になるのですが、今年は自分のチャレンジとして、いろいろなコンテストに挑戦したいと思っており、いくつかのフォトコンテストにも出場していたタイミングだったんですよね。だからこそ、見た瞬間に「これは出たい」と思いました。

―― 仲野さんは普段から、雰囲気をガラッと変えるようなブリーチやデザインカラーの施術をされているそうですね。数ある美容師の方向性のなかで、デザインカラーを極め始めたのはなぜですか?
仲野:もともと憧れはあったのですが、自分が所属しているMASHUがナチュラルな髪色・雰囲気で定評があることもあり、最初はデザインカラーにはそれほど注力していませんでした。
とはいえ、それだけでは提案できることの幅が少し狭いなと。カラーマネージャーもしていることもあり、僕がデザインカラーに取り組むことで、自分とサロン全体が提案できる可能性を広げたいと思ったんです。
―― SNSでは、カウンセリングをされている様子の動画も多く発信されていますよね。
仲野:カウンセリング動画は、お客様に自分のことが伝わりやすいと考えています。ただ仕上がりだけを見せるのではなく、どんなお悩みがあって、どんな提案をして、どう変わっていくのか。そのプロセスまで見てもらえるからこそ、安心感を届けられるのかなと。
とはいえ、どんな動画を投稿するかは日々試行錯誤し続けています。カウンセリング動画といっても、人によって見せ方が全然違うんですよね。最初に何を持ってくるとキャッチーなのか、どういう構成だと見やすいのか。他の動画を見て、勉強しながら自分の動画にも取り入れています。
サロンワークや経営にかける時間もあるなかで取り組むのはちょっと大変ではありますが、お客様にもっと喜んでもらいたいという気持ちと、自分自身が美容師としてより磨きをかけたいという気持ちがあるからこそ、日々頑張れていますね!
「かわいいけど、個性もほしい」抽象的な理想を、具体的なデザインへ
―― 今回のモデルとなったお客様は、どのような方でしたか?
仲野:僕のSNSを見て来店してくださった、新規のお客様でした。
就職活動を控えていて、落ち着いた髪型にしなければいけなくなる前に、最後に少し派手で目立つ髪色をやってみたいというご希望をいただきまして。お客様の華やかで目鼻立ちが生かされる、顔まわりにアクセントを持ってくるデザインにしました。
「かわいい雰囲気が好き。でも、個性も出したい」というお話もしてくださったので、かわいいだけに全振りするのではなく、まわりにはあまりいないような、自分らしさのあるデザインにすることを目指しました。
―― 今回は「就活前」というシチュエーションを踏まえた施術でしたが、仲野さんの他の投稿を見ても、カウンセリングでは普段のお仕事や生活について聞かれている印象があります。
仲野:必ず聞くポイントですね。普段どんなお仕事をしているのか。まわりからどんな印象を持たれたいのかなど、お客様の「髪」から一歩踏み込んだ情報は、本当に似合うものをつくる上では、欠かせないと考えています。
僕は、良い美容師の条件が2つあると考えているのですが、その1つが「お客様の要望を深く聞き出せる人」です。
お客様が「かわいくしたい」「おしゃれにしたい」と言ったとしても、その奥にはもっと深い意図がある。だから、なぜ美容室に来て、どんな自分になりたいのか聞くことは、提案の質をあげる上で欠かせないと思うんですよね。
最初は「ここまで踏み込んで良いのかな?」と怖くなることもあったのですが、今では「似合うデザインをつくりたいので、たくさんお話を聞かせてもらっても良いですか?」とお伝えして、じっくりとヒアリングをするようになりました。
―― たしかに、それならお客様の立場でも、遠慮せずに話せそうですね!
仲野:もちろん言いたくないことまで言ってもらう必要はまったくないのですが、話せる範囲で教えていただけたら嬉しいなと思いますね。
ちなみに良い美容師のもう1つの条件は、自分の技術に背伸びをせず、できることとできないことを正直に伝えられる人です。
美容師が技術を磨くことはもちろん大切ですが、覚えること・深める知識は本当に幅が広いので、すべてを100点にするのは簡単ではありません。自分の技術的に「ここまではできるけれど、ここからは難しい」と伝えるべき場面もあると思うんです。
それに、やっぱり施術は髪の状態によって難しいこともあります。そんなときに背伸びをしてしまうと、結果的にお客様が「思っていたのと違う」と感じてしまうと思うんです。
だから私たちは、できることを最初に正直に伝えたうえで「この範囲ならできます」と提案し、納得して施術を受けられることを目指したい。その上では、お客様の要望を聞き出したうえで、自分の得意なことと重ね合わせて提案する誠実さが大事だと思っています。
―― 実際、施術後はお客様からどのような反応がありましたか?
仲野:その場でも喜んでいただけましたし、後日SNSで「学校でかわいいってたくさん言ってもらいました!」「見たことのないカラーだと言われました」と連絡をいただきました。

普段、見た目を褒められる機会って意外と少ないと思うんです。だからこそ、美容室を出たあと、学校や職場で「かわいいね」と声をかけてもらえるきっかけをつくれた瞬間は、美容師としてやっぱり格別に嬉しい瞬間ですね。
初めての「外部コンテストグランプリ」。普段のサロンワークが評価された

――グランプリ受賞が決まった瞬間は、どのような気持ちでしたか?
仲野:最初は信じられない気持ちのほうが大きかったですが、徐々に嬉しさが込み上がってきました。社外のコンテストでグランプリを受賞したのは初めてのことだったので、本当に嬉しかったですし、まわりの方からもたくさんメッセージをいただいたり、直接声をかけてもらったりしました。
―― 今回のコンテストに出てみて、得たものはありますか?
仲野:美容師として日々やっていることを、客観的に評価してもらえる機会をいただけたことが本当にありがたい経験だったと感じています。
美容業界では、フォトコンテストをよく見かけます。ヘアデザインの独創性や作品としてのクオリティを競うものが多いんですよね。
一方でGEKI→HEN AWARDは「動画」で競うコンテスト。カウンセリングやお客様の反応も審査対象であり、これまで出てきたフォトコンテストとは、また違ったものを価値として認めてもらえるジャンルだなと感じています。
髪の毛の仕上がり以外も審査対象ということは、普段のサロンワークを評価してもらえるということ。普段のサロンワークの中で、上司やお客様以外から、自分の接客も含めた「技術」を客観的に見てもらえる機会はなかなかないので、率直にすごくいいコンテストだなと思いましたし、今回このような評価をいただけたことで、今後の自分の成長にもつながりそうだと感じています。
結果がどうであれ、自分のサロンワークを動画として記録に残し、多くの方に見てもらい、評価してもらえることは、自分の技術や提案、動画の見せ方を振り返るきっかけになりますし、必ず成長につながると思います。
僕自身も今回の経験を通じてもっと頑張りたいと思えましたし、興味がある方は、ぜひ一歩踏み出してチャレンジしてみてほしいです。











